「見守る」って、実はすごくむずかしい
- Hiroki Nagaya
- 5月14日
- 読了時間: 3分

〜手を出さない勇気、言わない強さ〜
運動を通して子どもたちと向き合っていると、保護者の方からよくこんな声を聞きます。
「つい口を出したくなっちゃって…」
「もっとやってほしいのに、やめそうになってるのを見ると、モヤモヤしてしまうんです」
分かります。
それって、期待しているからこそですよね。
「ここでもうひと踏ん張りすれば伸びるのに」
「せっかく頑張ってきたんだから、もう少し挑戦してみてほしい」
そんなふうに思ってしまうのは、お子さんの可能性を信じている証拠だと思うんです。
「もっとできるのに」と思うからこそ、言いたくなる
たとえば、チャレンジしたい気持ちはあるのに、一歩が出ない子。
周りが楽しそうにやっているのを見ながら、モジモジしている姿に、
「行っておいで!」「大丈夫、できるよ」と背中を押したくなる瞬間があります。
そういうとき、「もうちょっとやってみたら?」「さっきは惜しかったよ」そんなふうに声をかけたくなるのは当然です。
でも、あえて“言わない”“手を出さない”選択をするときがあります。
それは、子ども自身の中から「やってみようかな」という気持ちが出てくるのを、ちゃんと信じてあげたいから。
強く背中を押すよりも、少し離れて静かに待つことのほうが、子どもにとっては大きな後押しになることもあるんです。
自分で決めた一歩は、強い
たとえば、ブレイキンでフロアに出るのが怖くてモジモジしていた子。声をかけずにただ見守っていたら、自分から踊り始めた子。緊張しながらのチャレンジ。
パルクールで遠くの高い場所でのバーバランスに何度もトライしていた子。怖さと悔しさで何度も立ち止まっていたけど、やめるかと思ったその瞬間に、「もう一回やってみる」と小さくつぶやいての再挑戦。
その一歩には、「自分で決めた」という強さが込められています。
他人に言われて動いたときより、内側から湧いたエネルギーの方がずっと強い。
だからこそ、その子の表情や目の色が、ぐっと変わって見えるんです。
見守るって、結構しんどい
正直なところ、「見守る」って言葉はやさしく聞こえますが、やってみると本当にしんどいです。
「あと少しなのに」「今がチャンスなのに」そう思っているのに、あえて何も言わずに待つって、保護者の方にとっても、すごく勇気のいることだと思います。
でも、何もしていないわけではありません。ぐっとこらえて「信じて待つ」ということ自体が、大人にとってのチャレンジなんです。
だからボクは、声をかけずにそっと見ていた保護者の姿も、すごくかっこいいと思っています。
子どもがチャレンジしているとき、実はその横で、大人もチャレンジしている。
そのことに、もっと自信を持ってもらえたらうれしいです。
最後に
言わないことは、何もしないことではありません。
黙って見ている中には、「がんばってほしい」「乗り越えてほしい」そんな思いがたくさん詰まっています。
子どもはその“空気”を、ちゃんと感じ取っています。
だからこそ、EXCEEDは、子どもたちが自分のタイミングで「やってみよう」と思える場所でありたいと思っています。
保護者の皆さんと一緒に、「見守る力」も身に付けていけたらうれしいです。
子どものチャレンジだけでなく、親のチャレンジも、ちゃんと伝わっている。
そう信じて、これからも一緒に子どもたちの成長を応援していきましょう。
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